今、改めて見直すマイノリティ・リポート
Huluでドラマ版マイノリティ・リポートの配信が始まりました。
知らない人のために説明しておくと、原作はみんな大好きPKDの同名短編。これを2002年にスピルバーグが映画化してヒットした。そのドラマ版ということで、誰しもが「何故今更?」と思ったに違いないが、映画同様にスピルバーグが監督を務めるということで、ふーん、そんじゃ見てみるか、と普通なるよね?なるよね?ところがどっこい本国では視聴率最下位で当初13話予定だったのが10話に切り詰められるという事態に陥る。あれ?日本でいうとHEAT並みってこと?
嫌な予感はしつつも、とりあえず見てみることに。
一応、映画も小説も知らないという人のために軽く説明しておくと、舞台は近未来。三人の未来予知能力者の力を使って、これから起こる犯罪を未然に防ぐ犯罪予防局のおかげで殺人事件の件数はほぼ0になり、安心して生活できる社会になっていた。
主人公アンダートンの役柄は小説と映画で若干変更されているのだけれど、この犯罪予防局で働いていることに変わりはない。ある日、自分がこれから人を殺す未来殺人者と断定されてしまう。ところが、その殺す相手の名前には覚えが無い。名前も知らない人を殺すわけがないのだが、未来がそう予測されてしまった以上彼は今までとは逆転し、犯人として追われる立場になってしまうのだ。
映画版においてはこの犯罪予防システムは最後には崩壊してしまう。システムに問題があったのではなく、いつだってそれは人間側の問題なのであるが。
ドラマの舞台はそこから数年後。再び殺人事件が発生するようになってしまった世界。殺人が起きた現場で、事件を未然に防ぐことができた時代を思って嘆く刑事と、システム崩壊後から隠遁生活を営んでいた未来予知能力者(プリコグ)の一人が出会うことで始まる。
▲一番面白かったシーン。自撮り(セルフィ)ドローンではしゃぐ子供。
未来でまでこんな文化が続いてるのかと思うと頭が痛くなりますね。
ざっと第1話だけ見た感想。「うーん。。。」
映画のファンとしておっ!と思うところはありました。劇中でアンダートンに扮したトムクルーズがクルクル回して見せる空気銃が何気に登場してます。映画のあのシーンはマジでかっこいいから見て欲しい。
あとはなんというか、まだ第1話だからかもしれませんが、微妙。掴みは失敗してる気がします。
そもそもとして、ディックの原作とスピルバーグの映画の時点では、この犯罪予知は疑問視されるべきものとして描かれていると思うわけです。小説ではアンダートンの後釜になるウィットワー君が、映画ではこの未来予知に反対する人物として登場するのもそういうことだと思ってましたが。「起きてない犯罪は裁かれるべきではない」って、我々の目になってくれるキャラクターとして登場したはずです。(殺されたけど。笑)
この未来予知ってのは今に現実でも行われている「情報」を集めるという行為の最終系だと思うんですよね。色んなことが誰かに監視されている時代。ビッグデータってやつ。そういうのが進みすぎるとこういう社会になってしまいますよってのが出発点だった気がする。っていうのが私の見解なわけですが、またそこを掘り返すっていうか、なんと未来予知崩壊後の新しいシステムとして様々な情報をもとに未来を予測するシステム「ホークアイ」なるものも登場。おいおい!ちゃんとメタれよ!
あれ?スピルバーグ続投なんだよね?ええ?ひょっとしてスピルバーグ的には「未来は変えられる」っていう明るいけどクソの役にも立たないポジティブメッセージだけの映画だったの?
まあ、結局のところ私はコケた原因って、「遅すぎた」の一言に尽きると思うんですよねえ。。。
追記
そういえば「高い城の男」もドラマ化にあたって、ナチスの紋章をつかった広告に対して苦情云々ってニュースが少し前にありましたね。ドラマ自体はまだ見てないですけど。
ひょっとしてSFブーム、いや、ディックブームが来てる?
だとしたら次は水蜘蛛計画なんてどう?実際のSF作家登場させてさ!